建設業界
[主]建設業界の最新動向はどうなっているのか?リサーチによると・・・
[従]
『建設業界
1)建設投資の規模と種類
日本の建設投資の規模と国内総生産(GDP)に占める比率は、このところ年々低下してきている。名目ベースでは、1996年度82兆6800億円(16.4%から、2000年度は70兆3600億円、13.8%まで低下、2001年度は67兆1300億円の見通し(2001年4月27日、国土交通省発表)である。
しかし、投資額、対GDP比率ともに依然として米欧の先進国を上回っており、相変わらず世界最大規模である。発注者を民間と政府に分けると、2001年度は民間56.2%、政府43.8%の見通しである。
建設投資は、好況時には、ビルや工場等の設備投資関連の民間非居住用建築が伸び、不況時には公共投資の拡大で土木工事が増えるのがこれまでの一般的傾向であった。民間の工事は、建築工事の比率が圧倒的に多い。これに対して政府建設投資は、治山・治水、道路などの公共事業が中心であり、土木工事の比重が高い。
2)建設投資の現状と将来
1990代に入って、バブル崩壊後の不況対策として、大量の公共工事発注が行われ、土木工事の発注が一時盛り上がったが、その結果、国債残高の急増と国家財政の窮乏を招いた。このため行財政改革の一環として、総額約630兆円の公共投資基本計画を見直すことが政治の大きな課題となり、その一環として財政構造改革推進のための特別措置法案が成立した。しかし、1998年に入って金融システムの動揺が引き起こした不況の深刻化で、公共投資抑制は一時棚上げされ、1998・1999年度は再び公共工事の大量発注が行われた。ただ、2000年に実施された総選挙で、地方の大型公共工事のバラマキへの批判が都市部の自民党の敗北になって現れたことから、建設主体の公共工事を見直す動きが高まっている。
2001年度には構造改革を掲げる小泉内閣が誕生、公共事業を始めとする歳出の削減と国債発行の抑制が政策の最優先課題として打ち出されている。
一方、民間投資は、1997年前半までは景気の緩やかな回復に伴い、事業所、店舗等の非居住用建築の回復が見込まれていたが、1997年後半以降、景気が後退局面に入り、再び需要は低迷状態に逆戻りした。都市部のビル建築需要は、都心部での賃貸料の底入れといった明るい要素が一時出ているが、商業用土地の価格はなお下げ止まっておらず、全体としてはビル需給もなお過剰感が強い。
3)建設業者の数と就業人口
建設業は多様な資材や機材を用いて生産活動を行う。作業内容も多岐にわたる。このため、建設業者も工事全体の監理・監督を行う元請け業者と、技能労働者を使って施工に当たる専門工事業者とに分かれる。
建設業許可業者の数は1999年3月末現在で58万6000、就業者数は全産業の約1割に当たる647万人(1999年平均、前年比5万人減)にのぼる。業者数は多いが、このうち99%が個人業者および資本金1億円未満の零細企業で占められている。業者数は1987年度から漸減傾向にあったが、1993年度からは増加に転じており、1999年3月末には過去最高となった。しかし、就業者数は3年連続で減少しており、公共投資の拡大にもかかわらず、建設業が雇用の受け皿としては機能しなくなっていることがうかがえる。
建設業者の倒産は、1997年以降年間4000件を超える高水準で推移している。1999年は4384件と3年ぶりに減少、1998年央からの公共工事拡大の効果がうかがえるが、その効果が一巡し始めた1999年後半に早くも、息切れの兆しが見え始めている。負債増額は2兆円台に達していた1997、1998年に比べると1兆2348億円と半減しており、大型倒産こそ下火になっているが、代って裾野に位置する中小企業の倒産が多発している。
4)建設業界の構造変化
建設需要は、経済全体が低成長時代に入っているうえ、景気回復が軌道に乗れば国家財政の健全化が政策的には再度優先的な課題となり、公共投資の抑制が予想されるため、将来的には停滞が避けられない。国に加えて、地方公共団体も財政の悪化が急速に進んでおり、景気対策として国が財政投入を打ち出した公共投資であっても、地方が担当する部分については執行されないままになっている工事が多いのが実状である。
建設会社の多くは、建設需要の減少に加えてバブル期に活発に行った不動産取得が工事に結びつかないままに不良債権化しており、財務内容の悪化に苦しんでいる。98年の倒産件数は前年比36.9%増の5440件に達し、負債総額は2兆1146億円(同10.7%減)にのぼっている。
公共工事については談合体質の改善を迫られており、結果的には競争の激化と受注単価の低下が予想され、工事採算の悪化が避けられない。1990年度には3.4%あった売上高経常利益率は年々低下を続けており、1997年度には1.7%まで落ち込んだ。
競争の時代を迎えて、業界の再編と整理淘汰も活発化している。日本の建設業界も一般の産業並みに、真の実力が物を言う時代に入りつつある。
5)産業としての建設業の特徴
典型的な受注産業である。発注者は政治・経済・社会のあらゆる分野におよぶ。2001年度の建設投資67兆1300億円(前年度比4.6%減)のうち、建築投資は32兆6200億円(同5.7%減)、土木投資は34兆58100億円(同3.5%減)の見通しである。
建築工事には、住宅、医療・育児、文教、環境・衛生、業務、商業、飲食店、宿泊、興業、宗教、遊興、スポーツなどがある。
土木工事には、堰堤・水力発電施設、道路・鉄道、トンネル・地下構造物、河川・海岸堤防、港湾、土地造成、防災、農業土木、上下水道、電線路などである。多趣多様な業者を組み合わせる統合産業である。
千差万別の生産対象に対応するため専門工事業が約30業種に分かれ、その業態は多様である。発注者、設計者、元請業者、下請業者、建材業者などの組み合わせが工事のつどに異なることになる。
生産組織が一定せず、元請業者と複数の専門工事業者との共同作業により生産される。
建設工業法では土木工事業、建築工事業、大工、左官、とび・土工、石、屋根、電気、管、タイル・レンガ・ブロック、鋼構造物、鉄筋、舗装、浚渫、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設備、熱絶縁、電気通信、造園、穿井(井戸)、建具、水道施設(上下水道)、消防施設、清掃施設工事の28業種に分類される。
複数の工事の許可を取る業者も多い。特に大手ゼネコンでは二桁の業種の許可を得ている企業も少なくなく、3社は全業種の許可を得ている。
認可には、建設大臣認可(複数の都道府県に営業所を設ける場合)と知事認可(一つの都道府県のみに営業所を設ける場合)とがある。建設業者全体のうち、大臣認可業者は僅か2%で、知事認可業者が98%と大部分を占める。
下請け工事業者に3000万円(建築一式工事は4500万円)未満で施工させる一般建設業と、3000万円以上で施工させる特定建設業とがある。全建設業者に占める比率は、特定建設業8%に対して一般建設業は92%と圧倒的に多数を占めている。
特定建設業のうちでも、土木工事業、建築設工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業の7業種は指定工事業とされ、国家資格を持つ専任の技術者の営業所に置くこと、3000万円以上の公共工事では工事現場への管理技術者の常駐が義務づけられている。固有の土地で行われる一品生産で屋外生産である。建設工事は、一件毎に固有の土地に密着して生産される。一品生産であり、移動産業、地域密着産業、現場産業である。仮設的施設による屋外生産であり、天候や季節変動による影響を受けやすい。実際の工事は元請・下請・孫請の共同作業である。
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工事の形態には直営、委任、請負の3つの種類がある。請負は、契約の範囲によって一式請負と分離請負とに分けられる。また、請負代金の決め方では定額請負、単価請負、実費精算の3つがある。また請負業者の数で単独請負と共同請負とに分かれる。
実際の工事は元請・下請・孫請の共同作業で行われる。発注者から工事を直接受注した元請は、実際の施工を専門の工事を行う下請業者に発注する。発注者の承認なしに工事を他の業者に一括下請(丸投げ)することは法律で禁止されている。元請業者は総合契約者(ゼネラル・コントラクター)または主契約者(メイン・コントラクター)、下請業者は次の、あるいは副契約者という意味でサブ・コントラクターと呼ばれる。ゼネコンの役割は、工事業者を選定し、施工を管理することで、工事の進捗に合わせて適切に下請業者を配置する。
6)公正かつ透明な競争の時代が始まっている
工事を請け負う建設業者の選定は、公共工事では入札、民間工事では見積もり合わせによるのが一般的である。
公共工事の入札方法には、一般競争入札、制限付一般競争入札、指名競争入札、随意契約の4種類がある。従来は指名競争入札が主流であったが、ゼネコン汚職の頻発や米国からの政府調達の自由化の要請をうけて、1993年から、大型工事については制限付競争入札、小規模工事については指名競争入札の改善(公募型、工事希望型)、多様な入札・契約方式の活用が行われるようになった。
7)通称として大手、準大手等の呼び方がある
業界の呼び方として、大手5社(大成建設、鹿島、清水建設、大林組、竹中工務店)、準大手11社(熊谷組、西松建設、フジタ、戸田建設、五洋建設、ハザマ、東急建設、佐藤工業、前田建設工業、三井建設、鴻池組)、中堅30社、マリコン5社(海上土木を特異とするゼネコン、五洋建設、東亜建設工業、東洋建設、若築建設、佐伯建設工業)、道路専業8社(ゼネコン系は公共工事の受注資格を取るために分離、日本鋪道=日石系、前田道路、日本道路=清水建設系、大成ロテック=大成建設系、鹿島道路、大林道路、世紀東急工業=東急系、東亜道路工業=独立系)等と呼ばれる。
8)別格の設備工事業者とプラント工事業者等
専門工事業者の中には、技術力を背景に、一般の建設業者とは別格の地位を持つ企業群がある。電気工事業者としては、きんでん(関西電力)、関電工(東京電力)、トーエネック(中部電力)、九電工(九州電力)、ユアテック(東北電力)、中電工(中国電力)等がある。管工事業者には、高砂熱学工業、新菱冷熱、三機工業、ダイダン、大氣社、日立プラント建設がある。プラント・エンジニアリングには大手3社として、日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリングがある。建設コンサルタントでは、日本工営、パシフィックコンサルタンツの2社が国際的に活躍している。』
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※この記事は東洋経済新報社 東洋経済WEBの記事 引用※東洋経済新報社※
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